【米国テック深掘り|テスラ編 [1/7]】テスラは何で稼ぐ?車・電池・ソフトの三層構造を読み解く

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目次

ポイントまとめ

  • 収益の柱は自動車(車両販売+ソフト)とエネルギー(Megapack/Powerwall)。近年はエネルギー事業が高成長を続けており、粗利の改善も顕著です。
  • **充電網(NACS/スーパーチャージャー)の開放とFSD(運転支援ソフト)**が、将来の「継続課金」とエコシステム拡張の鍵を握っています。
  • リスク要因は価格競争と規制(自動運転・保険・各国規制)。「車×電池×充電×ソフト」という複合モデルを理解し、長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。

企業の全体像(何で稼ぎ、どこが強い?)

テスラは「EVメーカー」から「電動化インフラ企業」へと進化を続けています。売上の大半は依然として自動車ですが、**エネルギー事業(Megapack/Powerwall)**が年々拡大しており、2024年は売上・粗利ともに大幅増となりました。会社全体の粗利率は圧縮された一方で、エネルギー部門の粗利は改善傾向にあり、第二の収益の柱としての存在感を増しています。

主要セグメント

自動車
車両販売、規制クレジット、FSD(運転支援ソフト)の販売・サブスク、リースなどで構成されています。価格調整によって販売台数を確保する戦略を取る一方、粗利率は市況に連動しやすい特徴があります。

エネルギー
定置用蓄電システム(Megapack/Powerwall)とソーラー製品を展開。2024年には年間31.4GWhの導入実績を達成し、2025年も四半期ベースで高水準を維持しています。工場増強が追い風となっています。

サービス/その他
充電サービス、保険、アフターサービスなどを提供。充電事業はNACS規格の開放により、「公共インフラ」としての性格を強めています。

「稼ぎ方」の現在地(収益の柱/今後の比重)

**短期(〜12か月)**では、自動車の販売台数と価格ミックスが損益を左右します。2025年Q2は38.4万台の納車、エネルギー9.6GWhの導入と、台数は横ばい圏内、エネルギーは伸長という構図が続いています。価格競争が続く局面では、**ソフト(FSD/接続サービス)と充電のARPU(顧客単価)**をいかに積み上げるかが鍵となります。

中期的には、Megapackの増産(米国・中国)と家庭用蓄電池の裾野拡大により、エネルギー事業の売上・粗利貢献がさらに高まる可能性があります。自動車は新旧モデルの切り替えと地域別価格戦略で柔軟に対応し、ソフトウェア比率が上振れすればマージンの質も改善するでしょう。

強み(モート)

統合バリューチェーン
車両・電池・パワートレイン・ソフト・充電を自社主導で統合。開発から運用までのデータを循環させることで、学習速度を高めやすい構造を持っています。

エネルギーでの規模効果
Megapackの量産体制と豊富な受注残に支えられ、同セグメントの粗利率は年々改善。自動車部門の低マージン期における「緩衝材」としての役割も果たしています。

充電規格(NACS)の事実上の標準化
他社製EVの受け入れ拡大により、ネットワーク価値と設備の回転率が向上しやすくなっています。

ソフトウェアの将来オプション
FSDの機能拡張が続く限り、サブスクリプション/機能課金の余地は大きいと言えます(ただし技術・規制面のハードルは存在します)。

リスク(競合・規制・実行)

価格競争とモデル更新
グローバルでの値下げ圧力は粗利率を侵食します。モデルの切り替え期には、稼働率低下や販促コスト増加の影響を受けやすくなります。

規制とレピュテーション
自動運転や保険を含む規制強化のリスクがあります。直近ではカリフォルニア州保険当局による執行措置が話題となりました。

技術ロードマップの不確実性
電池(4680セル等)の量産性・コスト競争力は今後の鍵を握ります。サプライチェーンを外部調達に戻す可能性についても報道が出ています。

サテライト投資としての位置づけ

テスラは「車(景気連動)×インフラ(蓄電・充電)×ソフト(サブスク)」という三層モデルの企業です。コア資産(インデックスや広範ETF)を中心としたポートフォリオにおいて、**サテライト枠で「電動化エコシステムの成長余地」**に投資する戦略と相性が良いでしょう。短期的なボラティリティ(価格変動・規制)を前提としつつ、四半期ごとのエネルギーKPIと充電網の開放度を定点観測することで、構造変化を捉えやすくなります。

1ステップ実務アドバイス

テスラIRのQ2 2025 Update PDFから「Energy Deployments(エネルギー導入量)」と「Automotive Gross Margin(自動車粗利率、脚注含む)」の項目をブックマークし、四半期ごとに数値を記録・追跡しましょう。

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免責事項

本稿は一般的な企業理解のための情報提供であり、特定銘柄の推奨・売買助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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この記事を書いた人

“守りは投資信託、攻めは米国テック”。そんなコア・サテライトで
ムリなく増やす方法を発信しています。新NISA×積立×仕組み化で、
迷わず続けるための手順をシンプルに。

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