ポイントまとめ
エヌビディア(NVDA)の売上は、データセンター部門が80%以上を占めています。この部門を軸に数字を読み解くことが、同社の事業構造を理解する近道です。
粗利率(売上に対する利益の割合)は70%前後で推移しており、これは半導体業界としては極めて高い水準です。この高収益性こそが、同社の競争力の証と言えるでしょう。
ただし、在庫、需給バランス、顧客集中度といった「裏側の数字」も押さえておくことで、”AI投資サイクル”のピークや調整局面をいち早く察知できるようになります。
主要指標の見方
① 売上構成:データセンターの圧倒的な存在感
2026会計年度の第2四半期では、データセンター部門の売上は約416億ドル(450億ドル弱)で、全体の約88%を占めているとの見方があります。
2025会計年度末の決算では、データセンター収益が四半期で356億ドルを記録し、前年同期比で**+93%という驚異的な成長**を遂げました。
投資家が注目すべきポイント:
「データセンター売上:他部門売上」の比率変化を追うことが、ビジネスモデルの変化点を読み解く鍵となります。データセンター依存度がさらに高まっているのか、それとも他部門が回復しているのか。この動向は、同社の成長の持続可能性を判断する重要な指標です。
② 粗利率(Gross Margin):収益性の指標
2026会計年度の第2四半期では、GAAP粗利率が72.4%、Non-GAAPで72.7%でした。2025年には74.4%/75%という報告もあり、一貫して高水準を維持しています。
粗利率が意味すること:
高い粗利率は、「製品と価格決定力で優位に立てている」証拠です。逆に言えば、粗利率の低下は要注意サイン。競争激化、価格下落、供給過多といった兆候が現れている可能性があります。
たとえば、H20の輸出制限の影響で粗利率の前提が変わったケースもあります。このような外部要因にも敏感に反応するのが粗利率という指標です。
③ 在庫・顧客集中・需要サイクル:見えにくいリスク
データセンター部門の売上について、興味深い事実が報じられています。売上の過半数が、名前の公表されていない3社の大口顧客から来ているというのです。これは顧客集中リスクを示唆しています。
また、注文残(バックログ)の状況や、「GPU売り切れ」といった需給ひっ迫の報道も出ています。これらの情報は、市場がピークアウトしつつあるのか、それとも次の成長サイクルの入口に立っているのかを判断する重要な材料となります。
指標どうしのつながりを理解する
財務指標は個別に見るのではなく、相互のつながりで理解することが重要です。
理想的な成長シナリオ:
- データセンター売上が増加する
- 粗利率が継続的に高水準を維持する
- GPU/ネットワークの生産が需要に追いつく(在庫・供給サイクルが健全)
警戒すべきシナリオ:
- 在庫が滞留する
- 価格競争に陥る
- 顧客が分散化する
これらが発生すると、たとえ売上成長が続いていても、粗利率の低下や需給サイクルの鈍化として表れてきます。
つまり、「売上だけを見て安心する」のは危険です。売上の中身、粗利率、在庫・需給状況、顧客構成まで、セットで見る習慣をつけることが大切です。
よくある誤解と注意点
誤解① 「売上が急増している=安心」
売上が増えていても、粗利率が下がっていれば「成長の質の低下」を意味します。量的成長と質的成長の両方を見る必要があります。
誤解② 「GPUを売っている会社」という単純な理解
エヌビディアはGPU単体を売っているのではありません。「データセンター+ネットワーク+ソフトウェア」を一体として提供するビジネスモデルです。そのため、売上を部門別に分解して理解することが必須です。
誤解③ 「粗利率70%以上=ずっと続く」
需給が追いつき、競合が増え、価格が下落すれば、粗利率は簡単に低下します。高い粗利率は、現在の競争優位性を示すものであって、永続的な保証ではありません。過去にH20輸出制限の影響で粗利率の前提が変わった例もあります。
1ステップ実務:自分で数字を追ってみる
エヌビディアのIRサイトの「Quarterly Results」ページを開き、直近4四半期分について、以下の項目をスプレッドシートに記録してみましょう:
- データセンター部門売上(億ドル単位)
- 全体売上に対するデータセンター比率(%)
- 粗利率(Non-GAAP)
- 大口顧客・在庫・注文残に関する注記(公表されている場合)
数字を自分の手で追うことで、トレンドの変化をいち早く掴めるようになります。
🔗 NVIDIA Investor Relations – Quarterly Results
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本稿は一般的な企業理解のための情報提供であり、特定銘柄の推奨・売買助言ではありません。将来の株価・収益を保証するものではなく、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。





