ポイントまとめ
- エヌビディアの歴史は「ゲーム向けGPUの会社」から「AIデータセンターのインフラ企業」へのシフトとして見ると、非常に整理しやすくなります。
- ターニングポイントは、GPU発明(1999)→CUDA(2006)→データセンター売上がゲーミングを逆転(2020)→AI専用GPU世代(Hopper/Blackwell) という流れです。
- 現在はデータセンター売上が全体の約9割を占める”AIど真ん中企業”となっています。この構造に至るまでの選択と集中を追っていくと、同社のリスクと強みが見えやすくなります。
年表:主要な転機
| 年 | 出来事 | 意味・インパクト |
|---|---|---|
| 1993 | NVIDIA設立 | 3Dグラフィックス向け半導体ベンチャーとしてスタート |
| 1999 | 世界初の「GPU」を発明(GeForce 256) | GPUというカテゴリを定義し、PCゲーム向けで急成長 |
| 2006 | CUDAプラットフォーム発表 | GPUをグラフィックス以外の計算にも使えるようにし、「汎用GPU計算(GPGPU)」の基盤を整備 |
| 2012-2016頃 | データセンター向けGPU本格展開(Tesla/Kepler/Maxwell/Pascalなど) | 機械学習・HPC向けにGPUを販売開始し、「ゲーム以外で稼ぐ道」を開拓 |
| 2016 | 自動運転・AIプラットフォーム(Drive PXなど) | 自動車向けSoCとAIソフトで、自動運転市場にも参入 |
| 2019-2020 | Mellanox買収発表(2019)→完了(2020) | 高速ネットワーク(InfiniBand/Ethernet)を取り込み、「計算+ネットワーク」の両輪を獲得 |
| 2020 | データセンター売上が初めてゲーミングを上回る | 会社の「主力事業」がゲームからデータセンターに切り替わった象徴的な四半期 |
| 2022 | Hopperアーキテクチャ発表 | 大規模AI向けに設計されたGPU世代。AIトレーニング需要の爆発とともに採用が拡大 |
| 2024-2025 | Blackwell/Grace Blackwell世代発表、データセンター売上が全体の約9割に | AIブームを背景に、データセンター売上が年間売上の約88%まで拡大 |
| 2025 | 時価総額4兆ドル超の節目 | AIインフラ需要の集中を背景に、世界初の4兆ドル企業の一つに |
転機の解像度(なぜ効いたか)
1. 1999年:GPU発明で「土俵」を作った
1999年にGeForce 256を「世界初のGPU」として打ち出し、CPUとは別に画像処理専用のチップという新しいカテゴリを生み出しました。
- これにより、PCゲーム市場で「GPU=NVIDIA」というポジションを確立しています。
- 同時に、”大量の並列演算をこなすプロセッサ”という設計思想が、後のAI用途との相性の良さにつながっていきます。
2. 2006年:CUDAで「計算のプラットフォーム」に進化
CUDAは、GPUをグラフィックス以外の計算にも使えるようにするための開発基盤です。C/C++やPythonからGPUを扱えるライブラリ群を提供することで、研究者や開発者がGPUを活用しやすくしました。
- ここで「ハードウェアだけでなくソフトウェアも提供する会社」へと変貌を遂げます。
- AIやシミュレーション、HPC(高性能計算)の研究コミュニティがCUDA前提でコードを書くようになり、ロックイン(乗り換えにくさ)の種がまかれました。
3. 2010年代:データセンターとAIへのピボット
2010年代半ばから、深層学習ブームとともに、GPUは機械学習の計算エンジンとして脚光を浴びるようになります。
- 「Tesla」ブランドのデータセンター向けGPUや、DGXサーバーなどを通じて、クラウド企業・研究機関・大企業への採用が広がっていきます。
- ゲーミング依存からの脱却が始まり、「データセンター=第2の柱」が立ち上がる準備期間でした。
4. 2020年:Mellanox買収とデータセンター逆転
2020年、NVIDIAは高速ネットワーク企業Mellanoxの買収を完了し、InfiniBandや高性能Ethernetなどのネットワーク技術を獲得します。
同じ年の決算で、データセンター部門の売上が初めてゲーミングを上回り、会社の主役がはっきりと入れ替わりました。
- 「計算(GPU)」に加えて、「つなぐ(ネットワーク)」も自前で提供できるようになったことが、AIデータセンター事業の伸びを加速させました。
5. 2022-2025年:Hopper/BlackwellとAIブームの本格化
Hopper(2022年)、Blackwell(2024年〜)といったAI専用設計のGPUアーキテクチャが登場し、生成AI・大規模言語モデル向けの計算需要が爆発的に伸びます。
- 2024年度にはデータセンター売上が全体の約88%に達し、2025年には年間売上が急拡大しています。
- 「GPU企業」というより「AIデータセンターに必要なパッケージを丸ごと売る会社」という姿に変わりました。
今に効く学び
学び① 「土俵づくり」→「プラットフォーム化」→「インフラ化」
- GPU発明(1999年):ハードウェアで土俵を作る
- CUDA(2006年〜):開発者プラットフォーム化
- データセンター&Mellanox(2020年〜):AIインフラ化
この三段階があったからこそ、AIブームが到来したときに一気にスケールすることができました。
学び② 「ゲーム会社」が「AIインフラ企業」になった時間軸
- ゲームで稼ぎつつ、次の柱(データセンター)への投資を10年以上続けていた点が重要です。
- 2020年にデータセンター売上がゲーミングを逆転した時点で、ビジネスモデルの”主語”が完全に変わっています。
学び③ 「ネットワーク」と「ソフトウェア」がモートを強くした
- Mellanox買収でネットワークを押さえ、CUDAでソフトウェアも押さえた結果、“GPUだけ”を売る企業ではなくなりました。
- これが、競合が追いつきにくいフルスタック構造につながっています。
1ステップ実務
NVIDIA公式サイトの**「Corporate Timeline(企業年表)」ページ**を開き、1999年(GPU発表)・2006年(CUDA)・2020年(Mellanox完了&データセンター逆転)にマーカーを付けて、自分なりの3ステップ年表を作ってみましょう。
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免責事項
本稿は一般的な企業理解のための情報提供であり、特定銘柄の推奨や売買助言ではありません。将来の株価や配当を保証するものではなく、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。





