ブロードコムの歴史:M&Aで組み上げた“インフラ集合体”の作り方|米国テック深掘り:ブロードコム編[2/7]

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目次

ポイントまとめ

  • ブロードコムは「自前でゼロから作る会社」ではなく、M&Aでパーツを集めて巨大な”インフラ企業”へと進化してきた。
  • 半導体(有線・無線・ストレージ)に加え、企業ITの中核であるVMwareまで取り込み、ハード+ソフト一体のモデルへと変貌を遂げた。
  • AIブームで脚光を浴びている現在も、「AIネットワーク/カスタムAIチップ/企業内クラウド」を支える土台は、長年かけて積み上げてきた買収の歴史にある。

年表:ブロードコムを形づくった主要な転機

2010年代:半導体ポートフォリオの”部品集め”期

  • 2010~2013年
    • 有線通信・ストレージ系の買収を続け、ネットワークチップの基盤を固めた。
  • 2015年
    • AvagoがBroadcomを買収し、社名を「Broadcom」へ変更。
    • ここが現在の”ブロードコムの原型”となり、以降の大型買収の起点となった。

2018~2019年:ソフトウェア事業への本格進出

  • 2018年
    • CA Technologiesを買収。企業向けメインフレーム管理ソフトを獲得。
    • 半導体企業がソフトウェア企業を買収するという、異色の動きとして話題になった。
  • 2019年
    • Symantec(エンタープライズ部門)を買収
    • セキュリティ・運用管理ソフトを取り込み、企業ITの”守り”の領域にも進出。

2022~2023年:VMwareという超大型買収

  • 2022~2023年
    • VMwareを約610億ドルで買収する提案 → 承認 → 完了
    • VMwareは企業データセンターや仮想化の”中核”を担う存在。
    • ブロードコムはこの買収により、**「企業インフラの心臓部」**に踏み込むこととなった。

2024~2025年:AIインフラ企業としての存在感が急上昇

  • AIネットワーク(Tomahawk、Jericho)や**AI向けNIC(Thor Ultra)**が急成長。
  • 大手クラウド向けに**カスタムAIアクセラレータ(専用AIチップ)**の案件が拡大。
  • VMwareではPrivate AI / VMware Cloud Foundation 9を発表し、「企業のオンプレミスAI基盤」を握る存在として再び注目を集めている。

転機の解像度(なぜ効いたのか)

1. Avago→Broadcom買収:規模と市場を一気に跳ね上げた”皮膚の張り替え”

  • Avagoはもともと堅実なRF・光デバイスの会社だった。
  • そこがBroadcomを”丸ごと取り込む”形で、ネットワーク・ブロードバンド・ストレージの巨大なポートフォリオを獲得した。
  • この買収により、現在のブロードコムの「通信の配線をすべて握る会社」という基盤が完成した。

2. ソフトウェア買収(CA / Symantec):収益の安定化と”企業内”への入口確保

  • 半導体は景気に左右されやすいため、安定したリカーリング収益を生むソフトウェア事業が必要だった。
  • CAとSymantecは、メインフレーム、セキュリティ、運用管理といった”企業ITの中核”を押さえており、後のVMware買収の土台ともなった。

3. VMware買収:AI時代の”企業内クラウド”を押さえた決定打

  • VMware Cloud Foundation(VCF)は、大企業データセンターの主力基盤として広く利用されている。
  • そこにPrivate AIを組み込むことで、企業が「NVIDIAのGPUだけでなく、自社データでAIを運用する環境」を提供できるようになった。
  • AIがクラウドだけでなく”企業の内側”へ広がる時代において、巨大な入口を確保したことになる。

4. AIネットワーク・カスタムチップ:M&Aで広げたパーツが活き始める

  • GPU同士を束ねる**ネットワーク(Tomahawk / Jericho)**は、2010年代の買収で得た技術がベースとなっている。
  • カスタムAIアクセラレータは、顧客密着型の高付加価値ビジネスとして、AI投資サイクルの追い風を強く受ける領域へと成長した。

今に活きる学び(歴史をどう活かすか)

  • ブロードコムは”発明の会社”というより、**「どこがインフラとして安定的に稼げるかを読み、そこを買収して固めていく会社」**と言える。
  • AIブームの中で光るのは、AIネットワーク(AIクラスタの”道路”)、カスタムアクセラレータ(専用AI処理)、VMware(企業内AI基盤)という強力な”補完関係”を、長年のM&Aで仕込んできたことにある。
  • つまり短期的なAIテーマではなく、**「企業インフラの不可欠な部分を数多く握っている構造」**こそが本質と言えるだろう。

1ステップ実務

ブロードコムの**”M&A一覧(Company History)”ページ**を開き、Avago→Broadcom統合、CA、Symantec、VMwareの4件だけをメモして、「半導体→ソフトウェア→AIインフラ」という流れがどうつながっているかを確認してみよう。

🔗 https://investors.broadcom.com

免責事項

本稿は一般的な企業理解のための情報提供を目的としており、特定銘柄の推奨や売買の助言ではありません。将来の株価・業績・収益を保証するものではなく、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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この記事を書いた人

“守りは投資信託、攻めは米国テック”。そんなコア・サテライトで
ムリなく増やす方法を発信しています。新NISA×積立×仕組み化で、
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