3行でわかる要点
- 外国資産のリターンは「現地通貨での値動き」と「為替変動」の2つで決まります
- 為替ヘッジは為替変動を抑える仕組みですが、コストがかかり円安の恩恵も受けられません
- 株式の長期投資ではヘッジなしが一般的。債券など安定性を重視する場合はヘッジありが選ばれます
まず押さえておきたい5つのポイント
- 円建てリターンは「現地リターン × 為替変動」で決まる
- ヘッジあり = 為替変動を抑えるが、コストがかかり円安メリットを失う
- ヘッジなし = 変動はあるが、長期株式投資では一般的。円安局面では有利になることも
- 債券はヘッジありが一般的、株式は長期前提ならヘッジなしが多い
- 投資目的(安定重視か成長重視か)に応じて選ぶ
1. 円建てリターンとは?

海外の株式や債券に投資する場合、私たち日本人が最終的に受け取るのは「円建て」のリターンです。円建てリターンは次の式で決まります。
円建てリターン = 現地通貨でのリターン × 為替変動
例えば米国株に投資した場合を考えてみましょう。
- 米国株が+10%上昇
- 同時期にドル円が5%の円高に変動
この場合、円建てリターンは +10% − 5% = +5% となります。
つまり、株価が上がっても円高(円の価値が強くなること)が進むと、リターンが目減りする可能性があるのです。
2. 為替ヘッジの役割
為替ヘッジは「為替変動を抑える保険的な仕組み」です。ただし「安定する」というより、**「為替要因を取り除く」**と理解したほうが正確です。
メリット
- 円建てでの価格変動が小さくなる
デメリット
- ヘッジコストが発生する
- 円安による恩恵を受けられない
3. ヘッジコストとは?

ヘッジコストとは、主に日本と投資先国の金利差から発生する費用です。
現在のように日米の金利差が大きい状況では、長期でヘッジありを選ぶと毎年コストを払い続けることになり、結果としてリターンが目減りする可能性があります。
4. どんなときにヘッジを使う?

短期の債券投資・安定重視の運用 → ヘッジありが一般的
長期の株式投資(S&P500など) → ヘッジなしが主流
- 為替変動はあるものの、円安時にはリターンを押し上げる効果もある
- わざわざコストを払ってヘッジする必要性は薄い
実際、日本の投資信託市場でも「株式はヘッジなし」「債券はヘッジあり」がスタンダードになっています。
5. 初心者が覚えておきたいこと

- ヘッジは「安定=良い」という単純な話ではなく、「為替要因を消すか残すか」の選択です
- 円安による恩恵も「リターンの一部」と考えれば、必ずしもリスクだけではありません
- 投資目的を整理して、「安定重視(債券)ならヘッジあり」「成長重視(株式)ならヘッジなし」を目安にすると分かりやすいでしょう
FAQ
Q1. 為替ヘッジは必ず使うべきですか?
必要ではありません。短期運用や債券のように安定性を重視する場合はヘッジありが選ばれやすいですが、株式の長期投資ではヘッジなしが主流です。円安局面ではリターンを押し上げる効果もあります。
Q2. ヘッジコストはどんなときに高くなりますか?
主に日本と投資先国の金利差が大きいときです。例えば日米の金利差が広がると、ドル資産を円でヘッジするコストが大きくなります。長期間ヘッジをかけ続けると、リターンが目減りすることもあります。
Q3. ヘッジなしだと危険ではありませんか?
危険というより「為替による変動がある」ということです。短期的には円高でマイナスに見えることもありますが、長期投資では為替の影響が平均化されていきます。また、円安局面ではプラスに働くこともあります。
(免責事項)本記事は投資助言ではありません。最終的な投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。