ポイントまとめ
- ブロードコムは、半導体(特にAI向けネットワーク&カスタムチップ)とインフラソフト(VMware) の二刀流で稼ぐ”インフラ集合体”企業
- 直近では、AI半導体売上が四半期で約50億ドル超・前年比+60%台 と急伸。AI向けスイッチ/ネットワーク/カスタムAIアクセラレータが成長エンジンとなっている
- VMware Cloud FoundationとPrivate AI、OpenAIとの 10GW規模カスタムAIチップ提携 など、”AI時代の土台(ネットワーク+企業内クラウド)”としての重要性が高まっている
企業の全体像(何で稼ぎ、どこが強い?)
ブロードコムと聞いて「無線チップの会社」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、現在の姿はかなり異なります。
今のブロードコムは、大きく 2本柱で売上を作るインフラ企業 です。
1. 半導体ソリューション
- AIデータセンター向けの イーサネットスイッチ(Tomahawk / Jerichoなど)やAI向けNIC(Thor Ultraなど)
- 大手クラウドやAI企業向けの カスタムAIアクセラレータ(専用チップ)
2. インフラソフトウェア(VMwareなど)
- 仮想化・プライベートクラウドの基盤である VMware Cloud Foundation(VCF)
- そこに「Private AI」機能を組み込んだ、企業向けの”社内AIクラウド” を提供
2025年の決算では、売上約160億ドル規模の四半期に対して、AI関連売上だけで50億ドル超(前年比+63%)という数字が出ています。つまり「AIブームでGPUの次に名前が挙がる”つなぐ側&カスタム側”の企業」と見ると、全体像が掴みやすくなるでしょう。
“稼ぎ方”の現在地(3つの柱)
ブロードコムの稼ぎ方は、この 3本柱 で理解しておくと分かりやすいです。
① AIネットワーク(イーサネットスイッチ&NIC)
- Tomahawk / Jericho:AIデータセンターでGPU同士をつなぐ、超高速イーサネットスイッチの代表シリーズ
- Thor Ultra NIC:AI向け800Gクラスの最新ネットワークカードで、GPUサーバーとネットワークの間を高速でつなぐ役割
イメージとしては、NVIDIAなどのGPUを 「束ねてAIクラスタにするための配線・交通インフラ」 で稼いでいる、という感じです。
② カスタムAIアクセラレータ(専用チップ)
- 大手クラウドやAI企業向けに、専用設計のAIチップ(XPUs) を提供
- 特に2025年10月には、OpenAIと 10ギガワット規模のカスタムAIアクセラレータを共同開発・展開する提携 を発表
ここが AI売上の成長ドライバー であり、「GPU会社ではないが、AI計算のど真ん中にいる半導体会社」と言えます。
③ VMware(インフラソフト+Private AI)
- VMware Cloud Foundation 9.0(VCF 9):企業のプライベートクラウドの土台
- ここに “VMware Private AI Services”を標準コンポーネントとして組み込み、AIネイティブなプライベートクラウドにする と発表
- Fortune 500の上位10社のうち9社がVCFを支持しているというコメントもあり、大企業向けの「社内AIクラウド」基盤 として位置づけられている
「クラウドの中のAI(GPU)」に対して、「企業のデータセンターの中で動くAI基盤」で稼ぐのがVMware側の構図です。
強み(モート)
1. AIネットワークの”標準”ポジション
AIクラスタを組むとき、GPUだけでなく スイッチ・ルータ・NIC も一緒に必要になります。ブロードコムは、AI向けイーサネットで Tomahawk / Jericho / Thor Ultra など、端から端までラインナップを揃える”フルスタック” を打ち出し、OCPサミットなどで業界団体とも連携を進めています。
AI時代の「ネットワークの標準」を取りにいっている点が、長期的なモート候補と言えるでしょう。
2. カスタムAIチップで”大口顧客ロックイン”
OpenAIとの10GWクラスの提携のように、特定の大口顧客と専用チップを長期契約で作り込む ことで、以下のようなメリットが生まれます。
- 供給の安定
- 仕様のすり合わせ
- 価格・原価の見通し
これらが中長期で見えやすくなるため、「GPUを汎用で売るモデル」とは少し違う、“専用インフラ請負業”のような強み があります。
3. VMwareによる”企業内AIインフラ”の押さえ
VCF 9.0+Private AIを組み合わせることで、企業が自社データセンター内で生成AIを安全に使える基盤 を提供できます。すでに多くの企業のインフラにVMware製品が入り込んでいるため、「その延長線上でAIも載せられる」という”入り口の強さ”があります。
リスク(競合・規制・集中)
1. 大口顧客・AIサイクルへの依存
Q2〜Q3 FY25のAI半導体売上は、四半期4.4〜5.2億ドル→さらにQ4ガイダンス6.2億ドルと伸びていますが、その多くを 数社のハイパースケーラーやAI企業に依存 していると見られています。AI向けCAPEX(設備投資)の波が落ち着くと、売上成長が一時的に鈍化/調整するリスク があります。
2. 競合との戦い:GPU陣営&他社スイッチ
ネットワーク分野では、NVIDIA(InfiniBand系)やBroadcom以外のスイッチベンダーもAI向けソリューションを強化しており、「AIネットワークの標準争い」は続いています。カスタムAIチップの世界でも、各クラウドが自社内製を進めており、「一部は自社チップ+一部はBroadcom」という棲み分けになる可能性もあります。
3. VMware買収後の規制・評判リスク
VMware買収後、ヨーロッパのクラウド事業者団体(CISPE)が 契約条件や競争への影響についてEUに正式な苦情を提出 するなど、規制・評判面の課題も指摘されています。価格・ライセンス条件の変更に対して、顧客やパートナーの反発が続けば、中長期的なVMware事業の成長・評判に影響する可能性があります。
サテライト視点の位置づけ
ブロードコムは、インデックスの中でも AIインフラ(ネットワーク+カスタムチップ+企業内クラウド)の代表枠 と見ると分かりやすいでしょう。
- コア資産:全世界株インデックスやS&P500などで広く市場を持つ部分
- サテライト:その周りに、「AIインフラの”つなぐ&企業内”側に賭ける枠」としてAVGOを置く
という整理が現実的かな、というのが私のスタンスです(個別推奨ではなく”見方”の例として)。
チェックするときは、毎回の決算で以下の点をセットで見ると、「AIブームのどの段階にいるか」「企業側AIインフラの伸び」がイメージしやすくなります。
- AI半導体売上(AI networking+custom accelerators)の成長率
- VMware/インフラソフトの売上とPrivate AI関連のコメント
- 規制・契約条件・顧客との関係についてのニュース
1ステップ実務
ブロードコムIRサイトの 「Quarterly Results」ページ を開き、直近の決算リリースで「AI revenue」「Semiconductor Solutions revenue」「Infrastructure Software revenue」の3つだけをスプレッドシートにメモしておきましょう。
🔗 Broadcom Investor Relations — Quarterly Results
https://investors.broadcom.com/financial-information/quarterly-results
免責
本稿は一般的な企業理解のための情報提供であり、特定銘柄の推奨・売買助言ではありません。将来の株価・業績・配当を保証するものではなく、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。





