ポイントまとめ
- エヌビディアの主力はデータセンター向けAIチップ事業。直近では売上の約9割をデータセンター関連が占める「AIインフラ企業」へと変貌を遂げています。
- 事業は大きく ①GPU/アクセラレータ(計算) ②ネットワーク&システム(つなぐ) ③CUDAなどソフト/プラットフォーム(使わせる) の三層構造で成り立っています。
- 主なリスクは特定顧客・特定用途への依存と競合・規制(輸出規制など)。サテライト投資では「AI投資サイクルの波」に乗る前提となるため、ボラティリティの許容が必要です。
企業の全体像(何で稼ぎ、どこが強い?)
エヌビディアは、もともとPC向けグラフィックス(GPU)の会社でしたが、今ではAI向けデータセンターの「フルスタック・インフラ企業」と見る方が実態に近いでしょう。
2025年7月期(FY26第2四半期)の売上は約467億ドルで、そのうちデータセンター部門が約411億ドルと圧倒的な比率を占めています。AI向けGPUと、それを束ねるシステムで稼ぐ構造です。
一方で、ゲーミングGPUやプロ向けグラフィックス、車載・ロボティクスなども依然として売上に貢献しており、S&PのレポートによればFY25の構成比は「データセンター約88%、ゲーミング約9%、その他は1%前後」となっています。
つまり「ゲーム会社からスタートし、今はAIデータセンターが本体」という姿に変わったということです。
稼ぎ方の現在地(収益の柱/今後の比重)
① GPU・アクセラレータ(計算のエンジン)
- H100/H200、Blackwell世代(B100/B200/GB200など)のAI向けGPUが主役を担っています。
- これらを**サーバーやラック単位のシステム(例:NVL72など)**として販売し、大口顧客(クラウド/ビッグテック)がまとめて購入する形です。
② ネットワーク&システム(つなぐ部分)
- Mellanox買収で得たInfiniBandや、GPU間を直結するNVLink/NVSwitchなどのネットワーク製品が急拡大しています。
- 直近四半期ではネットワーク売上が前年比ほぼ倍増するなど、データセンター売上の中でも第二の成長ドライバーとなっています。
③ CUDA・ソフトウェア&プラットフォーム
- CUDAは「エヌビディアGPUを使うための基本ソフトウェア基盤」です。C++やPythonからGPUを利用するためのライブラリ群やツールが提供され、AIフレームワーク(PyTorchなど)もCUDAを前提に最適化されています。
- 開発者コミュニティとライブラリの積み上げが**スイッチングコスト(乗り換えにくさ)**を生み、ハードウェアの販売を下支えしています。
強み(モート)
1. データセンター売上のスケールと集中
AI向けデータセンターの売上は、足元で四半期4兆〜5兆円規模に達しています。特にBlackwell世代の立ち上がりと、クラウド事業者・AIスタートアップによる「AIファクトリー」投資が追い風となっています。
2. ハード+ネットワーク+ソフトの「フルスタック」
- **GPU(計算)+NVLink/InfiniBand(つなぐ)+CUDA/Magnum IO(ソフト)**を一社で提供できるプレイヤーは他にほとんどいません。
- これにより、顧客は「全部入りのAIインフラ」をNVIDIAから丸ごと調達でき、導入スピードと性能の読みやすさがメリットになります。
3. CUDAエコシステムと開発者コミュニティ
- CUDAは2000年代後半から継続的に拡張され、AI・HPC・画像処理など向けのライブラリ群(CUDA-Xなど)が積み上がっています。
- 2025年にはRISC-V対応も発表され、x86やArm以外のCPUでもCUDAを使ったシステム設計が可能になりつつあります。
- これらが「NVIDIA前提で作られたソフト資産」を増やし、他社GPUへの乗り換えを難しくしています。
リスク(競合・集中・規制)
1. 特定顧客への依存
- 直近の報道では、データセンター売上の約半分が3社程度の大口顧客に集中しているとの指摘もあります。
- これらの顧客(大手クラウドやAI企業)が自前チップ(ASIC)や競合GPUに切り替えると、売上変動リスクが大きくなります。
2. 競合と「内製化」の波
- 外部競合としてはAMDや専用AIチップ(各社のカスタムASIC)、CPU+アクセラレータの組み合わせなどが挙げられます。
- 内部競合としては、顧客の自社開発チップがあり、「最初はNVIDIAで立ち上げ→スケールしたら自社チップへ」というパターンも十分想定されます。
3. 規制・輸出管理
- 中国向け高性能GPU(H20など)の輸出制限により、数十億ドル規模の売上影響が出た四半期もあります。
- 今後も地政学リスクや輸出規制が、特定市場への販売余地を揺さぶる可能性は高いです。
サテライト視点での位置づけ
エヌビディアは、インデックス(S&P500やNASDAQ100など)の中でもボラティリティが高く、AIサイクルに強く連動する銘柄と捉えるとイメージしやすいでしょう。
- コア資産:インデックス・広範ETFなどで世界株を押さえる
- サテライト:その周りに**「AIインフラの勝ち筋に賭ける枠」**としてNVIDIAを置く
という設計が、初心者〜中級者には比較的扱いやすい構成です。
ポイントは以下の3点をセットでチェックして、「AI投資サイクルが加速中か、小休止なのか」を見極めることです。
- 四半期ごとのデータセンター売上と成長率
- ネットワーク・ソフト(CUDA関連)の言及
- 規制・輸出関連のコメント
1ステップ実務
NVIDIAのIRサイトで**「Quarterly Results」ページ**をブックマークし、最新四半期の「Data Center revenue」と「Gaming revenue」の推移だけをまずは表にしてみましょう。
🔗 NVIDIA Investor Relations — Quarterly Results
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本稿は一般的な企業理解のための情報提供であり、特定銘柄の推奨・売買助言ではありません。将来の株価や配当を保証するものではなく、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。





