🔹3行でわかる要点
- PER・PBR・ROEは「企業を比較するための道具」で、単独の数字だけで判断しないことが大切
- 高い/低いにはそれぞれ理由があり、”背景”を読むと判断の質が上がる
- 同業他社や過去と比べることで、数字が持つ意味が初めて見えてくる
🔹まず押さえておきたい5つのポイント
- 指標は”正解”ではなく、判断の補助ツール
- PERは「株価の割安・割高」を大まかに見る目安
- PBRは「資産に対して株価が高いか」を示す
- ROEは「元手に対する稼ぐ力」を見る重要な指標
- 指標は必ず”同業他社”と”過去推移”で比較する
記事
これまで損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー(CF)を見て、企業の中身を理解する基礎を学んできました。
第5回では、それらを”比較の道具”として整理するPER・PBR・ROEという3つの代表的な指標を扱います。
初心者は「PERが低い=割安」「ROEが高い=良い会社」と覚えがちですが、実際には数字の背景にある”理由”を見ることが本質です。ここでは、その考え方をわかりやすく整理します。
🔸PER(株価収益率)=株価が利益の何年分か
PER=株価 ÷ 1株当たり利益
企業が生み出す利益に対して、株価がどれほど評価されているかを示します。
- PERが低い → 割安? ただし”不人気”や”業績懸念”の可能性も
- PERが高い → 割高? ただし”成長期待”が織り込まれていることも
重要なのは、**「なぜそのPERになっているのか?」**を探ることです。
例えば:
- 成長企業 → PERが高くても市場が将来性を期待している
- 安定企業 → PERが低めでも業界では標準的な水準
業種によって平均PERは大きく異なるため、必ず同業他社と比較しましょう。
🔸PBR(株価純資産倍率)=株価が純資産の何倍か
PBR=株価 ÷ 1株当たり純資産
企業が持つ”資産の価値”に対して、株価がどれだけ評価されているかを表します。
- PBRが1倍未満 → “資産より株価が安い”状態
- PBRが1倍以上 → “資産にプレミアムがついている”状態
ただし、PBRの判断には注意が必要です。
例えば:
- IT企業やブランド企業 → 資産に表れない価値が大きい(PBRは高く出やすい)
- 資産型ビジネス(不動産・製造) → PBRは低めが標準
“資産の性質”まで見ると、PBRの解釈がぐっと変わります。
🔸ROE(自己資本利益率)=元手に対する稼ぐ力
ROE=当期純利益 ÷ 自己資本
株主から預かった”元手”をどれだけ効率的に増やしたかを見る指標です。
- ROEが高い → 元手を効率よく増やしている
- ROEが低い → 元手を活かしきれていない
企業の経営効率を読み解く上で非常に重要で、世界的に注目される指標でもあります。
ただし、注意点もあります:
- 借金を多くして自己資本を減らせば、ROEは”見かけ上”高くなる
- 特別利益などで一時的に利益が増えると、ROEも跳ね上がる
数字を見るときは、必ずPL・BSと一緒に現実味を確認しましょう。
🔸指標は”点”ではなく”比較”で意味を持つ
指標は単独の数字では優劣が判断できません。意味が生まれるのは必ず比較したときです。
比較の軸は次の2つ:
① 同業他社との比較
同じ業界はビジネスモデル・利益率・資産構成が似ているため、指標の基準もほぼ共通します。
「どの会社が良いか」よりも、**”なぜ違うのか”**を考えることが大切です。
② 過去推移との比較
その企業の指標が:
- 上向いているのか
- 横ばいなのか
- 下向いているのか
を知ることで、企業の方向性が見えてきます。
例えば:
- PERが低下 → 成長期待が弱まっている?
- ROEが上昇 → 稼ぐ力が改善している?
数字は”増えた/減った”という方向性も重要です。
🔸最初の一歩は「ROEだけメモ」でもOK
初心者の最初の一歩としておすすめなのは、ROEの数字だけをメモすることです。
- 10%前後あると効率が良い企業が多い(業種により異なる)
- 上昇しているかどうかを見ると成長性がつかめる
「PERやPBRが難しい」と感じても、ROEを軸にすると理解が進みやすくなります。
🧩1ステップ実務(すぐできる行動)
- 気になる企業と、その同業他社を3社選ぶ
- PER・PBR・ROEを一覧表にして並べる
- 一番数字が高い/低い企業をメモ
- その”理由”をIRの文章から1行だけ抜き書き
🕔5分チェック(理解度確認)
- [ ] PER・PBR・ROEの意味を一言で説明できる
- [ ] 指標を”単独で判断しない”理由がわかった
- [ ] 比較する対象を「同業他社+過去推移」に設定できた
- [ ] ROEを1社だけでもメモした
❓FAQ
Q1. 指標の「平均値」をネットで調べて使えばいい?
参考にはなりますが、そのまま判断するのは危険です。業種や景気環境で平均値は大きく変わるため、同業他社との比較が最優先です。
Q2. PERとPBRはどちらが大事?
目的によります。
- 割安/割高をざっくり見る → PER
- 資産性を確認 → PBR
ただし、どちらも”背景にある理由”を必ず確認しましょう。
⚖️免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買判断を推奨するものではありません。投資の最終判断は必ずご自身の責任で行ってください。制度や数値は変動するため、最新の情報は公式資料でご確認ください。
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