● 11月10日〜14日の米国株は、週の半ばでAI・テック株が調整する場面もありましたが、週末にかけて持ち直し、まちまちの結果となりました。ナスダックは小幅反発、S&P500は小幅安、ダウは下落で引けています(11月15日JST朝時点)。
● 米10年債利回りは概ね4.1%前後で推移しました(割引率=将来利益を現在価値に換算する際の金利)。利下げ観測の後退や、政府再開後の「データ空白期間」への懸念が、相場のボラティリティを高めています。
● ドル円は154円台で推移し、円安基調が続いています。原油は週後半に反発、金は前日比で軟化する場面もあり、安全資産と景気敏感資産が綱引き状態となっています。
今週の振り返り
主な出来事(JST基準)
- 11月10日(月)相当:政府再開への進展観測から投資家心理が改善し、利下げ観測が後退する中でも株式市場は堅調にスタートしました。
- 11月12日(水):ダウは過去最高値圏で推移する一方、ナスダックは重い展開となり、「グロース株売り・バリュー株物色」の流れが鮮明になりました。
- 11月13日(木):AI関連の過熱感やバリュエーション懸念、データ空白期間への不安から、株式市場が急落する場面がありました。
- 11月14日(金):序盤はリスクオフの展開でしたが、引けにかけて持ち直し。NASDAQは小幅高、S&P500は小幅安、ダウは下落で終了しました。
金利動向(米10年債=割引率の代表指標)
ベンチマークとなる米10年債利回りは4.1%前後で推移しました。利下げ観測の後退とデータ再開時期の不透明感が上下動を引き起こしています。方向感は出にくい状況ですが、利回り上昇=割引率上昇は株式市場の重石になりやすい点は、引き続き意識しておく必要があります。
株式市場(指数と主なテーマ)
主要指数(米国金曜引け)
- ダウ平均:47,147.48(−0.65%)
- S&P500:6,734.11(−0.05%)
- ナスダック100:24,977.81(+0.13%相当)
マーケットの雰囲気:週前半はAI・テック株の反発でリスクオンムードでしたが、週半ばには過熱感への警戒と金利動向から調整局面に。最終日は持ち直しとなりました。AIのバリュエーションや政府再開後の遅延データが市場の話題の中心となっています。
金と原油(安全資産と期待インフレの指標)
- 金(Gold):週半ばは上昇後に翌日反落と、値動きの大きい展開となりました。利回り・ドル・リスク許容度の綱引きが続いています。
- 原油(WTI/Brent):在庫増や供給観測で弱含んだ後、週末は地政学ニュースで反発しました。インフレ期待への影響は限定的ですが、ヘッドラインニュース次第で短期的には値が動きやすい状況です。
為替(ドル円の動きと円建て投資家への影響)
ドル円は154円台を中心に推移しています。円建て投資家にとっては、円安による外貨資産の円換算評価の上振れと、急反転時の評価損益変動の両面に注意が必要です。為替ヘッジの有無で、実際に感じるリターンが大きく変わる一週間でした。
来週の注目ポイント
経済カレンダーの要点(JST基準)
- 政府再開後の「遅延指標」の公表再開(雇用・物価などの遅延分)。まとめて発表される初報の内容が、相場の方向性を大きく左右する可能性があります。
- AI・メガテック企業の決算発表:特にNVIDIAなどの結果とガイダンスの初期反応に注目です。
- 金利動向・債券入札:需給バランスと期待インフレ率の再確認。
主なテーマ(製品・AI・政策など)
- AI主力企業のガイダンスが堅調なら→グロース株の再評価につながる可能性があります。一方、投資過熱や設備投資過剰が意識されると、伸び悩む展開も考えられます。
- 「データ空白期間」明けの初期統計:弱い内容なら利下げ観測が復活、強い内容なら利下げ観測が後退し、株式・金利・為替が同時に動く可能性があります。
想定シナリオ(条件分岐で考える)
- 強気シナリオ:AI主力企業が好決算を発表し、初期統計が「弱すぎない」内容で10年債利回りが4.1%近辺で安定すれば、グロース株主導でリスクオンムードとなり、ナスダック100が相対的に有利になる可能性があります。
- 中立シナリオ:統計結果がまちまち、または材料出尽くしで金利・為替がレンジ内にとどまれば、指数は高値圏でのもみ合いが続きそうです。
- 弱気シナリオ:初期統計が強すぎる内容に加え、利下げ観測の後退やAI投資過熱への失望が重なれば、グロース株に下押し圧力がかかり、10年債利回りの再上昇で幅広い調整局面となる可能性があります。
長期投資家の行動指針(一般論)
やるべきこと
- 積立投資の継続(時間分散):ボラティリティが高い時期でも、「買い逃し」と「高値掴み」を平均化できます。
- リバランスの確認:グロース株偏重や為替ノーヘッジ偏重になっていないか、ポートフォリオ比率の定期チェックを行いましょう。
- 観察すべき指標:ナスダック100の初期反応、米10年債利回り、ドル円、クレジットスプレッド(信用スプレッド)。
リスク管理
- 評価通貨を統一する(円建てで損益を把握)。
- ヘッジ比率の事前設定(為替・金利の急変時に機械的に対応できるように)。
- 分散投資:AI一辺倒ではなく、セクター・地域・資産クラスの多層的な分散を心がけましょう。
用語解説(わかりやすく)
- 割引率:将来の利益を現在価値に換算する際に使う金利(上昇すると株価にとって逆風)。
- ナスダック100:ナスダック市場に上場する大型グロース株中心の100銘柄で構成される指数(金融銘柄を除く)。
- 初動(初期反応):イベント発生後の最初の価格反応(今後の方向性を探る手がかり)。
- クレジットスプレッド(信用スプレッド):社債と国債の利回り差(景気や信用不安の度合いを示す指標)。
- ヘッジ:為替や金利の価格変動リスクを相殺するための手段。
免責事項
本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。





