● 10月20日〜24日の週、米株式市場はインフレ鈍化期待と好決算を材料に上昇し、史上最高値圏で推移。
● 米10年国債利回りは約4.00%付近まで低下。割引率の低下が株価を下支え。(FRED)
● ドル/円、原油、金はいずれも方向感を模索中。原油安が利回り低下を促すとの見方も。(Business Insider)
目次
先週の振り返り
主な出来事(日時はJST)
- 10月20日(月): 週明けの米株式市場は上昇してスタート。(AP News)
- 10月21日以降: 大手企業の決算発表、米中貿易関連の発言、銀行の信用リスク動向などが相場を動かす材料に。(Reuters)
- 10月24日(金): 週末に控える9月分消費者物価指数(CPI)等のインフレデータ発表を前に、市場の期待感が高まる。(フィナンシャル・タイムズ)
金利動向(米10年債=割引率の代表指標)
- 10年米国債利回りは10月20日時点で約4.00%。(FRED)
- 10月22日頃には3.97%まで低下。(FRED)
- 利回り低下=割引率低下となり、株式にとってはプラス材料。ただし、背景に景気や信用面での懸念がある点には注意が必要です。
株式市場(指数と主要テーマ)
10月20日の終値:
- ダウ工業株30種平均: 約46,706.58ドル (AP News)
- S&P 500: 約6,735.13ポイント (AP News)
- ナスダック総合(またはナスダック100): 約22,990.54ポイント (AP News)
市場の主要テーマ:
- AI・テクノロジー株が引き続き好調
- 銀行・地域金融機関の信用リスクがひとまず後退
- 米中貿易・関税関連の発言に神経質な展開
- インフレ鈍化期待が市場センチメント改善の鍵
全体として、高値圏を維持しつつ、さらなる上昇余地もあるという雰囲気です。
金と原油(安全資産/期待インフレの指標)
- 原油価格は軟調な展開。米国および国際市場ともに、需給や景気への懸念が重石に。(Business Insider)
- 金は安全資産として買われる場面もありましたが、一本調子の上昇ではなく、「安心感からの買い」と「利回り低下」との関係も見られました。
- 原油安が利回り低下を促す可能性があり、割引率低下という観点からは株式にとってプラス要因となる可能性も。
為替(ドル/円の動きと円建て資産への影響)
- ドル/円は引き続き円安傾向が継続。ただし、円建てで海外資産を保有している場合、ドル高により円換算の評価額は上振れる一方、為替リスクが潜んでいる点に注意が必要です。
- 為替変動は株式、債券、コモディティの動きと連動しやすいため、日本の投資家は円換算ベースでの「見え方」にも気を配りたいところです。
来週の注目ポイント
経済カレンダーの要点(JST)
- 今週末または来週初めに予定されている米9月CPI(インフレ指標)の発表
- 銀行・金融機関の決算開示: 信用状況、貸出動向、収益の進捗が焦点
- FRB(連邦準備制度理事会)の次回会合/要人発言: 利下げ期待や金利政策が市場を左右
- 米中貿易/関税に関する発言や地政学リスク: 突発的な動きが波紋を呼ぶ可能性
注目テーマ(セクター・政策など)
- AI/テクノロジー株: 好決算が続けば上値追いの余地あり。逆に失速すれば調整のリスクも
- 銀行・信用リスク: 今週は落ち着いたムードだったものの、地域銀行の決算内容次第では再び注目される可能性
- 金利・債券市場: 10年債利回りの「割引率」としての変化が、株式市場の追い風にも逆風にもなり得る
- 為替/ドル高・円安: 日本の投資家にとっては、為替換算後の実質リターンにも注目すべき局面
想定シナリオ
強気シナリオ
インフレ鈍化、好決算、銀行信用リスクの低下が確認されれば、リスクオンの流れが強まり、株価上昇・金利上昇・ドル高という展開になりやすい。
中立シナリオ
インフレ指標や決算が予想通りで、目立った材料が出なければ、株価・金利・為替ともにレンジ内での推移となり、方向感に乏しい展開に。
弱気シナリオ
インフレ再加速、銀行信用リスクの再燃、ドル高反転の兆候が見られれば、株価は下押しされ、利回り低下(景気懸念を反映)、円高転換の可能性も視野に入ってくる。
長期投資家が心がけたいこと(一般論)
やるべきこと
- 定期積立の継続: 時間分散の効果を活かし、暴落・調整局面も投資機会として活用
- リバランス: AI・テクノロジーなど特定セクターへの偏りがないか、ポートフォリオを定期的に見直す
- 観察指標の明確化: 10年債利回り、ドル/円、銀行の信用スプレッド、AI関連企業の決算などを継続的にウォッチ
リスク管理
- 評価通貨の統一: 海外資産を円換算で見直し、為替の影響を正確に把握
- ヘッジ比率の事前設定: 為替・金利・信用リスクの変化に備えた対応ルールを事前に決めておく
- 分散投資: AI・テクノロジーといった特定テーマだけでなく、テーマ、地域、資産クラスを幅広く保有
免責事項
本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


