週次市況
2025年10月12日 更新
● 米長期金利が4.2%台に上昇、インフレ懸念で株式の上値を抑制(Reuters)
● ドル/円は152円台を突破、当局の介入警戒が強まる(Bloomberg)
● 金価格は再び上昇、リスク警戒とインフレヘッジ需要が共存(AP News)
先週の振り返り(10月6日〜10日)
米国市場は、週初こそ落ち着いた展開でしたが、FOMC議事録や米景気指標の強さを受けて長期金利が再び上昇。株式市場では金利上昇を嫌気してハイテク株中心に上値の重い展開となりました。ドル高・円安は一段と進行し、為替介入への警戒が強まった週でもあります。
イベントの地図(10月6日〜10日)
| 日時(JST) | イベント / 発表 |
| 10月8日(水) | FOMC議事録(9月分)公表。メンバー間で「インフレ抑制の粘り強さ」を確認(FOMC) |
| 10月9日(木) | 中国CPI/PPI発表。デフレ傾向一服も消費回復は限定的(中国国家統計局) |
| 10月10日(金) | 米ミシガン大学 消費者信頼感指数(速報値)発表。インフレ期待が前月比でわずかに上昇(Reuters) |
景気指標全体としては「強すぎず弱すぎず」の印象。ただし、FOMC議事録が示すタカ派的トーンが市場の金利観を引き締める結果となり、株式の調整要因になりました。
金利の位置と動き
10月10日時点で、米10年債利回りは 約4.22% まで上昇(前週比 +0.1pt)。
雇用や消費データが底堅さを示す中、FRBが利下げに慎重な姿勢を続けるとの見方が強まりました。
この水準は、企業の将来利益を割り引く“割引率”の上昇を意味し、特に高PER(株価収益倍率)の成長株には逆風となりやすい局面です。
一方で、債券市場では「利回り上昇がピークに近いのでは」との思惑もあり、週末にかけてやや落ち着きを取り戻しました。
株式(指数 & テーマの手触り)
- S&P 500:週間では小幅安(–0.3%)。金融・エネルギーが下支えする一方、テック・通信株が重し。
- Dow Jones:ほぼ横ばい。景気循環株が底堅さを発揮。
- Nasdaq:金利上昇の影響を最も受け、–1.1%下落(Reuters)。
テーマ別動向:
AI・半導体関連は一服感が強まり、代わりに公益・防衛・資源関連など「安定配当セクター」に資金シフトの兆し。
一方で、マグニフィセント7(大手テック)のうち、AppleやAmazonは高値圏でのもみ合いが続いています。
金と原油(安全資産・インフレ期待)
金(ゴールド):
1オンス=約2,550ドル前後まで上昇(週初比+1.5%)。
米金利上昇にもかかわらず、地政学リスクやインフレ警戒による買いが優勢となりました(AP News)。
原油(WTI):
1バレル=81ドル前後で小動き。
OPEC+の減産維持観測と米在庫減少が支えとなる一方、景気減速懸念が上値を抑えました(Reuters)。
為替(ドル/円含む)
ドル/円は、10月10日時点で 152.6円前後。
週初からドル買い・円売りが続き、ついに2022年の介入水準を突破。米金利上昇と日銀の緩和姿勢の差が鮮明です。
日本政府・日銀は「過度な変動に対応する用意がある」と発言(Bloomberg)。
市場では、一時的な介入があってもトレンドを変えるほどの持続力は限定的との見方もあり、円安基調が意識されています。
来週の注目(10月13日〜)
- 米小売売上高(10/15発表):個人消費の勢いを測る重要指標。
- FRBメンバー講演:年内利下げ見通しをめぐる発言トーンに注目。
- 企業決算シーズン:銀行・通信・AI関連など、業績見通しが投資家心理を左右。
- ドル/円介入の有無:実弾介入となるか、口先対応に留まるかで為替波乱の可能性。
(免責事項)
本稿は一般的な情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


