この記事では、銀行の普通預金が物価上昇によってどれだけ”実際の価値(買える力)”を失ってしまうのかを、誰でも簡単に確認できるツールと一緒に解説します。
まずは要点だけ
- 一目で分かる:普通預金の通帳に書かれた金額と、物価を考慮した**”今の価値”(実質的な価値)**を1つの画面で比べられます
- より正確な物価指標に対応:最初から「**コアCPI(生鮮食品を除いた物価指数)**の直近12か月平均」が入っています。総合・コア・コアコア・手入力から選べます
- 税金を引いた後の利息で計算:普通預金の利息には約20%の税金が自動的に引かれます。その分を計算に反映しています
- 表・グラフ・CSVに対応:年ごとの表、折れ線グラフ(通帳の金額 vs 実際の価値)、データのCSVダウンロードができます
- スマホでも使いやすい:入力から結果の見方まで、縦にスクロールするだけで全て分かります
物価上昇と”実際の価値(買える力)”の関係
普通預金の通帳に書かれているのは額面上の金額です。しかし、物価が上がると、同じ金額でも買えるものが少なくなります。
この”どれだけ買えるか”を表すのが**実質的な価値(買える力)**です。
預金につく利息の増え方と、物価の上がり方を同じ期間で比べることで、実際には得しているのか、損しているのかが見えてきます。
コアCPI(生鮮食品を除いた物価指数)を基準にする理由
CPI(消費者物価指数)にはいくつか種類があり、代表的なのは次の3つです。
- 総合CPI:すべての品目を含む指標(天候などの影響で大きく変動しやすい品目も含む)
- コアCPI:生鮮食品を除いた物価指数(変動が小さめで、政策を決める時の参考にされることが多い)
- コアコアCPI:生鮮食品とエネルギーを除いた物価指数(より基本的な物価の動きに注目)
このツールでは、最初からコアCPIを使っています(生鮮食品を除くことで、短期的なブレを抑えた、比較的使いやすい物価の目安になるためです)。
税金を引いた後の利息で比較する大切さ
普通預金の利息には、約20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)が自動的に差し引かれます。
なので、比較するときは税金を引いた後の利息を使うべきです。
このツールでは、入力した**利息(税金を引く前)**を自動的に
税引後の利息 = 税引前の利息 × (1 − 0.20315)
に変換して計算しています。
ツールの使い方(通帳の金額 vs 実際の価値・”目減り”の見方)
- 元のお金・利息(税引前)・物価の上がり方・何年後かを入力(年に1回利息がつく計算)
- 通帳の金額:税金を引いた後の利息で運用した「通帳に書かれる金額」
- 実際の価値:通帳の金額を物価上昇で割り引いた”今の価値”
- “元のお金と比べた目減り”は、**1 −(実際の価値 ÷ 元のお金)**で表示(円と%の両方で表示)
- 例:実際の価値が元のお金より少ない → 目減りしている(+)
- 逆に、物価が下がった場合などで実際の価値が増えたときはマイナス表示になります
CPIの確認方法
- 見る場所:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)最新月次」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/ - 使う数字:コアCPI(生鮮除く)の前年同月比(%)。この数値をツールの物価上昇率の欄に入力して下さい。数値を調べるのが面倒な人は日本銀行が消費者物価指数(CPI)前年比で“2%”を物価安定の目標にしているのでこの数値を入力して下さい。
- 入力例:表示が「+2.1%」なら、ツールの物価に 2.1 と入力。
- 迷ったら:直近12か月の前年同月比の平均を目安にしてOK(概算で十分)。
※ 本ツールは概算です。数字はときどき見直してください。
普通預金の“実質価値”シミュレーター(名目 vs 実質)
今日の¥1,000,000の“買える力”は 10年後いくら? → — (初期値で計算可)
例:1,000,000 円
入力は税引前。計算時に自動で税引後へ換算します。
例:2.0(CPIの12か月平均などを記事で案内)
名目残高 実質価値(今日の円価値)
| 年 | 名目残高 | 累計インフレ(×) | 実質価値(今日の円価値) | 元本比の目減り | 元本比の目減り(%) |
|---|
※ 年1回複利。税引後金利 = 税引前金利 × (1 − 0.20315)。端数は円未満四捨五入、%は小数1桁で表示。